自然と愛着が湧く、衣類や日用雑貨を展開しているお店「MAITO」。
店内には日本に古くから伝わる草木染め(自然染め)という技法を使った品々が
ずらりと並んでいます。
代表の小室真以人さんが理想としているモノづくりのコンセプトは、
「メイド・イン・ジャパン」であること。そして天然素材を100%使用することです。
天然由来の染物の技法・草木染めは、植物や土、石、さらにイカやタコのスミや
貝の鰓下腺という器官などを染料の素材として使います。
たとえば、つぼみのついた桜の小枝で桜色に、タデ科の藍を使って藍色に、
栗を煎じてベージュ色に染めたりします。
また、藍をはじめとした染料の栽培を行なっているのも自然派である「MAITO」のこだわりです。
自然の色をそのまま生かした染物を身のまわりに取り入れると、
不思議と気分が晴れやかになりますよね。
「MAITO」オリジナルの糸が生み出す唯一無二の上質さ
「MAITO」で取り扱っている製品は、ニットやスカーフ、レギンスなどの衣類から
トートバックやポーチといった雑貨までさまざま。
それらに着色をするタイミングは、何を作るかによって変わります。
なかでも特徴的なのは、原綿の段階で草木染めを行なう先染め(トップ染め)と呼ばれる方法で作られた糸を使った製品。
天然染料で染めた綿で作られた「MAITO」オリジナルの糸は、摩擦や日光による色あせに強いぶん、
製作に手間と時間がかかるうえ、専用の道具と専門技術が必要な大変な作業で作られています。
そんなこだわりの「MAITO」オリジナルの糸を使ったアイテムの数々は、ほとんどが自社工場の横編み機で編まれています。
自社で編むことによって、より自由度が高いデザインの商品を作れるようになるからです。
取り扱っているのは、カーディガンやワンピースのほか、チュニックなど幅広いラインナップ。
トップスだけでなく、ジャカード編みのニットスカートなどのボトムス、
さらにはソックスや手袋などありとあらゆるアイテムが揃います。
天然素材100%のアイテムを普段のコーディネートに取り入れてみてはいかがでしょうか。
どれも素材同士の相性が抜群なので、全身草木染めでまとめてみるのも素敵ですね。
また、面白いのはトートバックやポーチ。こちらも原綿から草木染めした糸を使い、
ヨットの帆や柔道着に使われるほど丈夫な倉敷帆布として織り上げているそうです。
しっかりした自然素材のバッグは、重たい物を入れても大丈夫なので、
お出かけにはもちろん、普段使いにもぴったりです。
草木染め帆布のミニトート 桜・桑・茜・柘榴9400円、屋久杉10,400円(税込)
化学染料不使用という信念に秘められた物語
天然染料に比べて便利で生産性が高く、低価格な化学染料を一切使わず、
天然素材100%と日本古来の伝統技術にこだわる小室さんにはある想いがありました。
「たとえば、今では誰もが気軽に身につけられる紫色。化学染料がなかった昔は、紫色の染料は非常に貴重だったので高貴な人が使う、権力者の象徴ともいうべき色でした。庶民は紫色の衣類を身につけることが禁止の時代もあったんです。
こういう歴史的経緯や背景を知ると、色の捉え方がちょっと変わりませんか?
昔ながらの技法を守ることは、色や物の背景にある物語を語り伝えることでもあるんです」
商品に隠された物語を知れば、日本古来の天然素材のよさがわかり、自然と愛着が湧いてくるもの。
見た目のよさや価格だけに左右されない、素材そのものの着心地のよさ、本物の上質さを感じてみてはいかがでしょうか。